就職活動、恋愛、人間関係のトラブルなど、人生のふとしたきっかけで「自分が何者かわからない」と迷ってしまう時期があります。
特に、人からの無視や存在否定を感じる出来事があると、「自分には価値がないのではないか」と心底しんどくなってしまいますよね。
私自身もかつて、話し方に悩んでいた時期に、大切なパートナーから「君と話すとイライラする」と言われたことがあります。その時は自分が情けなくなり、まさに「自分は何者なのか」が全く分からなくなりました。
しかし、焦って「何者かになろう」とする必要はありません。 答えを見つける前に必要なのは、「今の自分、迷っている自分のままでOK」と心を緩め、自己受容できるようになることです。
今回は、今の傷ついた状態を抜け出すための回復ステップと簡単なワークをご紹介します。

そもそも「自分が何者か」の答えとは?
「自分が何者か」と聞かれた時、多くの人は職業や肩書きを答えます。
しかし、「会社員」「デザイナー」といった表面的な事実が、あなたの本質ではありません。真の「何者か」とは、「世の中において、自分がどんな存在(在り方)でありたいか」という価値観のことです。
| 表面的な肩書き | 在り方・価値観 |
| 会社員、デザイナー | 周りの人を安心させる存在でありたい |
| ◯◯のパートナー、〇〇ちゃんの親 | 自分の心地よさを大切に生きる存在でありたい |
この答えは、誰かに与えられるものではなく、自分自身で決めていくものです。 予期せぬ出来事や「他人と違う自分」と向き合いながら、少しずつ「理想の在り方」を作り上げていきます。
自己確立の大きな作業に向かっていくからこそ、まずは自分の心を癒やし、失われた「自分軸」を取り戻すステップが必要なのです。
ステップ①:五感を使って「身体感覚」を取り戻す
自分が何者かを悩む時、人の心はとても繊細で傷つきやすくなります。 頭の中でグルグルと考えてしまう状態を脱するには、まず「五感(身体感覚)」に意識を向けましょう。
心と身体は深くつながっています。鈍っていた五感を呼び覚ますことで、「自分は今、ここにいて大丈夫だ」という安心感が生まれます。
◆セルフワーク1:自分の感覚を観察してみよう
以下の問いに対して、ノートやメモに書き出してみましょう。
- Q1. あなたは今日、どんな服を着ていますか?
- Q2. 今日「心地よい」と感じたものを3つ挙げてください。(例:あたたかいお茶、太陽の光、柔らかいタオル)
- Q3. Q2で挙げたものの「どんなところ」が好きですか?
- Q4. それを感じたとき、どの五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)が働いていましたか?
~書き方の例~
Q2→温かいお茶を飲んだとき
Q3→ホッとしてお腹の底から温まる感じがしたから
自分の「好き」「心地よい」という感覚を丁寧に拾い上げることが、自分を知り、自己肯定感を育む第一歩になります。
書き出しワークは、うまく書けなくてもOK。自由に・具体的に表現しながら書いてみましょう。
ステップ②:「思考の癖(思い込み)」に気づく
感覚を取り戻したら、次は自分の「内面(考え方の癖)」に目を向けてみます。
人は誰しも、過去の経験や育った環境から作られた「思考の癖」を持っています。 子どもの頃は自分を守るために必要だった考え方が、大人になると生きづらさや対人トラブルの原因になることがあります。
大切なのは、思考の癖を排除することではなく、「自分にはこういう偏りがある」と知り、コントロールすることです。
◆セルフチェック:代表的な4つの思考パターン
自分にどれくらいあてはまるか、0(あてはまらない)〜 5(よくあてはまる)で点数をつけてみましょう。
- 白黒思考(0〜5点)
- 0か100か、YesかNoか、全か無かで考えてしまう。理想が高すぎて、曖昧な状態や他人の失敗を許せなくなる。
- 〜すべき思考(0〜5点)
- 「〜しなければならない」「こうあるべき」と自分に厳しいルールを課す。他人にも同じルールを求めて摩擦が生じやすい。
- 根拠のない決めつけ思考(0〜5点)
- 事実ではなく、自分の不安や感情でネガティブに捉えてしまう。(例:連絡が遅いと「嫌われた」と決めつける)
- レッテル貼り(0〜5点)
- 「自分はどうせ〇〇だから」「あの人は〇〇な人に決まっている」と決めつけ、可能性や視野を狭めてしまう。
強く当てはまると感じるパターンがあれば、そのシーンを思い出してみましょう。そして、自分の中に浮かんだ違和感はどこだろうと、優しく問いかけてみてください。
ステップ③:自己受容のためのリフレクション
次に、自分の思考の癖を知ったうえで、今のありのままの自分にも目を向けてみましょう。
◆セルフワーク2:自分を受け入れる質問
- 自分が偏りやすい「思考パターン」は何でしたか?
- あなたが「これだけは譲れない」「大切にしたい」と感じる価値観は何ですか?
- いま、自分が落ち込んでいる理由や気持ちを具体的に書き出してみましょう。
- そんな今の自分へ向けて、励ましのメッセージを送るなら何と言ってあげたいですか?
書き出すことで、自分が本当に大切にしたかった本音(価値観)が見えてくるはずです。
まとめ:自分がわからないと迷ってもいい
ここまで、自分を取り戻すための回復ステップをご紹介してきました。
最後に、一番お伝えしたいことがあります。 それは、「自分に迷ってもいい」ということです。

私自身、20代の頃は「デキる自分でいなければ意味がない」「将来の明確なビジョンがないと優秀じゃない」と思い込み、自分を追い詰めていました。
そんな私を救ってくれたのは、カラーセラピーの恩師の言葉です。 選んだカラーボトルを見た先生は、私にこう言ってくれたのです。
「今は決めたくないって思ってるみたいだし、決めなくても良いんじゃないかな」
この言葉を聞いた時、私の中の「未来像がなければいけない」という思い込みが、優しく解けていきました。
落ち込んだり迷ったりしたときに必要なのは、無理に前向きになることではありません。 「今は決められない自分であっても、それでいい」と、今の状態にOKを出してあげること(自己受容)です。
自分に迷う時期は、自分を知るための大切な準備期間です。焦らず、あなたのペースで「今の自分」を育てていきましょう。

